あまのベッセル

郊外の新興住宅地に建つ夫婦と子供の3人家族のための住宅である。どこでも見かける様な世の中で一般化された建ち方で家々が並んでいる。建物は北側に寄せ、南に庭を設ける。道路に面して土間コンクリートの駐車場を配置し、カーポートを計画する家もちらほら見られる。自分本位な建ち方をした画一的な配置計画は殺風景な街並みをつくりあげ、その風景にいつの間にか見慣れてしまった。
この敷地では方位に囚われず周辺の街並みに対して角地を生かした建ち方、外部空間の在り方を考えた。角地に合せてL状に縁側の様な外部空間を配置し建物を取り巻くことで、生活と街との間にバッファゾーンを設けた。このバッファゾーンは多角的な視線や動線を生み出し、生活が溢れ出す。また、道路に面したこの外部空間はプライバシーを確保しながらも空を通して街からの音や匂いを拾い上げ、光や風を呼び込む環境装置としても機能する。1階のパブリックスペースは間仕切りを設けないワンルーム型とし、外部との繋がりを強め室内奥深くまで外部環境を浸透させる。各室の場所性を高めるとともに空間の連なりを奥深くするように、床と天井の設えやレベルを各場に合せた多様なつくりとすることで、内外部を横断して生活が展開されていくことを考えた。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所在地 |愛知県あま市
主要用途|専用住宅
工事種別|新築
構造規模|木造2階建
家族構成|30代夫婦+子供1人
敷地面積|173.12 ㎡
建築面積|  71.98 ㎡
延床面積|120.57 ㎡

施工|雅匠
家具|稲熊家具製作所
造園|design LOOP
写真|山内亮二